「何者」というのは最近読んだ朝井リョウさんの小説の題名。
主人公の拓人はまるでぼくのようだった。
無様に、不器用に、がむしゃらに頑張って自己表現している人にもなれず、
斜に構えて、周りを下に見て他人と違う特別な考えを持っているるわけでもなく、
好きな人に愛情表現もできず、
歌がうまくて明るく人気者で、いろんなことを器用にこなすこともできず、
自分が思っていることを発言することもなく、SNSの裏垢でまわりの人間を分析した内容をさも正しいようにつぶやく。
SNSは匿名だけど、いつどこで、誰に見られているかわからない。
ぼくも、知っている人のSNSアカウントを、相手に知られることなく(知られているかもしれないけど)見つけることができるし、実際に何人も知っている。
恐らくぼくの匿名アカウントや、もしかしたらこのブログでさえも、知っている人が読んでいるのかもしれない。
「何者」の主人公の拓人のように、知り合いから露わにされ、戦慄するのかもしれない。
じゃあ、どうすればいいか、どうしたいかと言われると返答に窮するけど。
結局ぼくは何者にもなれず、やっぱり今のぼくのまま、秘密を白日にさらされることに恐れながら、さえない日々を送ることになる。
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